
世界の人々の健康のために、最先端の科学を追求し、より良い社会の実現を目指す社員の想いを紹介します

視力の喪失は、単に「見えなくなる」こと以上の影響をもたらします。視力が脅かされると、人々は日々の生活の中にある大切な瞬間や、自立した生活、人とのつながりなど、人生に意味をもたらすものを失うのではないかという不安を抱きます。
世界的に網膜疾患が増加し続ける中、回復が難しい視力喪失に対する新たな治療法の開発は、アステラスにとって重要な重点領域です。今回、プライマリ・フォーカス・リード(再生と視力の維持・回復)の鈴木丈太郎と、Head of Biopharma & Ophthalmology DevelopmentのMarci Englishが、眼科領域におけるイノベーションの進化と、科学的なブレークスルーを患者さんにとって意味のあるインパクトへとつなげるために必要なことについて語ります。

鈴木 丈太郎
プライマリ・フォーカス・リード
(再生と視力の維持・回復)
鈴木 丈太郎:視力の喪失は、多くの人の日常生活に大きな影響を及ぼします。また、視力喪失の原因となる疾患の多くには、いまだ有効な治療法が限られている、あるいは存在しないため、多くの患者さんが新たな選択肢を求めています。
私たちは、細胞医療や遺伝子治療などの科学技術のイノベーションによって、こうした大きなアンメットニーズに応えられる可能性があると考えています。そして、その信念に基づき、眼科領域に長期的に取り組んできました。私たちの目標は、単に科学を進歩させることではありません。イノベーションを患者さんにとって意味のある成果へとつなげることです。
この10年、私たちは専門的なケイパビリティを構築・結集するとともに、眼科領域のエコシステム全体にわたるパートナーシップを強化してきました。疾患のバイオロジーと患者さんのニーズに対する深い理解を基盤として、十分な治療選択肢がない疾患や治療が難しい疾患において、新たな標的や、最先端のモダリティ、精密なアプローチを取り入れたパイプラインを推進しています。

現在、私たちは地図状萎縮とともに生きる人々に対し、疾患の進行を遅らせる治療を提供するとともに、網膜疾患におけるアンメットニーズに応えることを目指し、新たな治療法の研究開発を続けています。

Marci English
Head of BioPharma and
Ophthalmology Development
Marci English:私たちは、再生医療が将来的に網膜疾患の治療のあり方を大きく変える可能性を持っていると考えています。
多くの網膜疾患では、重要な網膜細胞の変性や喪失が起こります。私たちの研究者は、ヒト多能性幹細胞(PSC)由来治療の再生能力によって、重要な細胞機能を置き換えたり修復したりすることで、こうした根本的な課題に対応できないか研究を進めています。
また、ユニバーサルセル技術も活用しています。これは、ドナー由来の細胞を免疫系から認識されにくくすることを目的とした遺伝子編集技術です。これにより、免疫拒絶反応のリスクを低減し、同種細胞治療へのより広いアクセスにつながる可能性があります。
さらに、網膜細胞を支え、視機能の維持を目指すため、遺伝情報を網膜に直接届けるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースの遺伝子治療技術の開発も進めています。

しかし、新しい技術を開発することは、課題の一部にすぎません。それぞれのモダリティを、特定の疾患や患者さんに対してどのように活用することが最も適しているかを理解することも重要です。患者さんや介護者、医療従事者、科学コミュニティから得られる知見は、私たちの開発戦略を形作り、最適化するうえで欠かせません。
Marci English:イノベーションは科学的なブレークスルーが生まれればそこで完結するものだと思われがちです。しかし実際には、革新的な治療法を患者さんに広く届けるためには、それ以上のことが必要です。
イノベーションには、研究から開発、製造、提供、そして継続的な学びまでをつなぐ包括的なアプローチが欠かせません。すべての工程が重要です。

そのためアステラスは、バリューチェーン全体にわたるケイパビリティを意図的に構築し、結集してきました。私たちは、先進的な科学だけでは十分ではないことを理解しています。科学が持つ可能性を、安定的かつ必要な規模で提供できる治療へと変えていくためには、専門知識、インフラ、パートナーシップが必要なのです。
鈴木 丈太郎:複雑な医療課題を一つの組織だけで解決することはできません。
進歩を実現するためには、進化し続ける科学、新たな治療モダリティ、高度な製造技術、ロボティクスや人工知能(AI)、そして患者さんにとっての価値を示す新たな評価指標など、さまざまな要素を組み合わせていく必要があります。
だからこそ、パートナーシップは私たちの取り組みにおいて重要な要素となっています。
研究者、医療従事者、技術分野の専門家、そして眼科コミュニティとの協業を通じて、私たちはより速く学び、知見を共有し、進歩を加速させることができます。特に、製造の一貫性やスケーラビリティの向上を含め、新たな技術が細胞医療や遺伝子治療の未来にどのように貢献できるのか、強い関心を持っています。
Marci English:私が希望を感じるのは、この分野全体で生まれている勢いです。地図状萎縮、Stargardt型黄斑ジストロフィー、そして緑内障による視神経障害とともに生きる人々に新たな治療の可能性を届けるため、私たちは新たな科学を切り拓いています。パイプライン全体で進展が見られていることを心強く感じています。
そのためには、継続的な学びと長期的な取り組みが必要です。科学技術の進歩と強固なパートナーシップによって、視力喪失の影響を受けている人々にとっての可能性をさらに広げていく機会があると考えています。
鈴木 丈太郎:アステラスの眼科領域への取り組みは、シンプルな信念に基づいています。それは、科学は人々が自分にとって最も大切なものを見続けられるよう支えるべきだということです。
長期的な投資、協業、そしてイノベーションにおける包括的なアプローチを通じて、私たちは眼科領域の未来を前進させ、科学が持つ可能性を患者さんにとって意味のあるインパクトへとつなげていきます。